「毛生え薬」って存在する?
~実は誤解だらけ!?わかりやすく解説

毛生え薬

毛生え薬と聞くと、飲んだり頭皮に塗ったりだけで髪の毛がフサフサになれる魔法の薬を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

実在するなら薄毛男性にとって「毛生え薬」は夢のようなアイテムですよね。

もし、そんな薬が存在するなら、とっくにハゲはいなくなっているはずなのですが、現代版とも言える毛生え薬は確かに存在します。

ただし、ネット検索では間違った情報も多く見受けられましたので、ここで毛生え薬についてわかりやすく解説したいと思います。

毛生え薬の歴史を見てみよう

毛生え薬の歴史はとても古く、古代エジプト(紀元前1550年)の世界最古の古代書「エーベルス・パピルス」にはすでに毛生え薬の処方について書かれています。

原料にはカバ、蛇、ワニ、猫、ヤギなどの脂を混ぜたものを使用していたようです。

古代ギリシャでもはちみつやオリーブオイルが毛生え薬として使用されていた記録が残っています。

日本でも江戸時代にはすでに毛生え薬が使われていたようで、ミカンや柚子などの柑橘系の果実を調合して毛が薄くなった部分に塗っていたとか。他にも、お米のとぎ汁や灰なども毛生え薬として使われていた時代もあるそうです。

今も昔も薄毛は世界共通のコンプレックスであることが分かりますね。万能の毛生え薬を求めて数え切れない施策を重ねて現代に至っていることが分かります。

進化した現代の毛生え薬

現代の「薬」は、調査や実験などの研究を重ね、エビデンス(科学的根拠)が確立されている「医薬品」であることが常識となっています。

そのため、現代では「毛生え薬」に薬という文字が入っている以上は、薬でなければならないはずですよね。

呪術士が医師の半分を占めていた古代エジプトや、医者の資格が存在しておらずなりたい人が医者になることができた江戸時代の「薬」の概念と、現代の「医薬品」では全く違うのです。

遙か昔に毛生え薬と呼ばれていた科学的根拠のないものはもちろん、現代でも医薬品でないものを「毛生え薬」と呼ぶのは少々無理があるのではないでしょうか。

「育毛剤=毛生え薬」は間違い

インターネットを見ていると、毛生え薬のなかに育毛剤を含めているコンテンツをよく見かけます。

育毛剤は、配合成分によって化粧品、医薬部外品、医薬品に分類されますが、毛生え薬として化粧品や医薬部外品の育毛剤を掲載しているサイトが目立ちます。

例えばチャップアップ、イクオスなどですね。

これらは医薬部外品ですので「毛生え薬」と呼ぶのは明らかに間違っていると思います。

医薬部外品のなかには「薬用」と表記されている育毛剤もありますが、

  • 薬用=医薬部外品

のことですので、医薬品ではありません。(紛らわしい表記ですね)

「発毛剤=毛生え薬」は間違いではない

発毛剤とは、医薬品の育毛剤のことを指します。

発毛剤には、発毛効果が認められている「ミノキシジル」「塩化カルプロニウム」をはじめとした成分が配合されています。そのため、当然のように副作用のリスクがあります。

医薬品ですので、発毛剤は毛生え薬と呼んでも間違いではありません。

毛生え薬と呼べる発毛剤には、

  • 第1類医薬品:リアップ、スカルプDメディカルミノキ5
  • 第2類医薬品:カロヤンS、ハツモール
  • 第3類医薬品:カロヤンプログレ、カロヤンガッシュ、カロヤンアポジカ

などがあります。(第1~3類は、効果の高さではなく、副作用のリスクによって分類されています。1に近づくほど副作用のリスクが高くなります。※厳密にはもう少し細かい決まりがありますがここでは省略します。)

発毛剤は、毛生え薬としての効果が低い

ミノキシジルや塩化カルプロニウムは、血管を拡張することで血流を改善して、毛根にスムーズに栄養を供給することで髪の毛の成長を促進する成分です。

たしかに血流の改善は発毛に役立ちますが、AGAの改善効果は高くはありません。

というのも、AGAによって薄毛が進行するのは、脱毛物質である「DHT」が髪の毛の成長をストップして、強制的に脱毛の周期に切り替えることが原因です。

発毛剤には、AGAの根本原因である「DHT」の生成を抑える効果はほとんどありませんので、AGA男性には毛生え薬としての効果は期待できないのですね。

例えるなら、

畑に植えた作物(髪の毛)が病気(AGA)で枯れかけているところに、たくさんの肥料(ミノキシジル)を与えることで作物を復活させようとするイメージですね。これでは、一時は元気になったとしても、根本的な原因である病気を治さない限りは、また作物は枯れてしまいますよね。

男性の薄毛は約9割がAGAが原因です。

9割の男性に効果が低く、残りの1割だけに有効な薬は「毛生え薬」のイメージとはかけ離れていると思います。

「毛生え薬=AGA治療薬」が正解

ご存じの方も多いと思いますが、AGAに最も有効な薬はAGA治療薬です。

AGA治療薬の主成分「フィナステリド」や「デュタステリド」は、「DHT」が作られないようにする効果がありますので、AGAの進行をストップすることが可能です。

ただし、万人に有効なものではなく、約8割の男性に効果が期待できます。

効果の大小も個人差が大きいため「万能」とまでは言えませんが、それでも現在ある薄毛の治療薬のなかではダントツの効果と言えます。

「毛生え薬」のイメージと、効果についてまとめると、

  • 育毛剤=「毛生え薬」は間違い
  • 発毛剤=「毛生え薬」は間違いではない
  • AGA治療薬=「毛生え薬」が正解

当サイトでは、AGA治療薬についても詳しく解説していますので、興味ある方はご覧くださいね。


コラム一覧「毛生え薬」の項目へ戻る

このページの先頭へ