【自毛植毛】4つの方法のメリットやデメリットを解説
自毛植毛には大きく分けて「フラップ法(皮弁法)」、「スカルプリダクション(縮小術)」、「ニードル法」、「遊離移植法」の4つの方法があります 。
現在は遊離移植(FUT法、FUE法)が主流で皮弁法や縮小術はほとんど行われていないようです。
フラップ法(皮弁法)
皮弁法(フラップ法)は、どんな方法?
側頭部から後頭部、そして反対側の側頭部までの頭皮を長方形に切り取り、脱毛箇所に移植する方法です。
切り取る皮膚は約4cm×30cmと大きな長方形になり、すべてを切り取るわけではなく、短辺(4~5cm)の片側はつないだままねじるように動静脈ごと移植して、血液の流れを保ちます。
メリットは?
メリットは、
- 短時間で多くの髪の毛を移植できる
ことです。
デメリットは?
問題点としては、
- 仕上がりが不自然になりやすい
- 大掛かりな手術になる
- 壊死のリスクも高い
などがあります。
仕上がりが不自然な上に、失敗したときは皮膚ごと壊死してしまいます。リスクが大きすぎる方法ですので、現在はほとんど行われていません。
スカルプリダクション(縮小術)
小鼻をはじめとした美容整形で有名な「縮小術」を頭皮に行います。
スカルプリダクションはどんな方法?
薄毛部分の皮膚を切り取って、その周辺の皮膚をのばして縫い合わせることで薄い箇所の面積を縮小する方法です。
メリットは?
- 短時間で手術が終わる
- 広範囲をカバーできる
などのメリットがあります。
デメリットは?
- 傷口が目立つ
- 手術を繰り返す必要がある
- ストレッチバックが起きる可能性がある
などのデメリットがあります。
スカルプリダクションでは、頭皮を引っ張るため、毛細血管が損傷してしまい脱毛が促進する「ストレッチバック」の可能性が高くなります。
また、手術の回数を繰り返すたびに、脱毛が加速化する可能性が高まることが分かっています。
スカルプリダクションによって一時的に髪が増えることは確かですが、長い目で見ると薄毛を促進する可能性が高いため、近年はあまり行われていません。
ニードル法
ニードル法は、1992年に韓国で生まれた植毛法で、「単一植毛」や「Choi式」とも呼ばれています。
ニードル法はどんな方法?
後頭部から切り取った皮膚を株分けして、専用の植毛針を使用して薄毛部分に1本1本植える方法です。
専用の植毛針で頭皮に穴を開けると同時に植えることができるため、他の植毛法より工程が少ないのが大きな特徴です。
メリットは?
- 植毛部分の傷跡が目立ちにくい
ことです。植毛針はとても小さいので、頭皮に傷が残りにくいのが一番大きなメリットと言えます。生え際のように、自然な仕上がりが求められる部位に向いています。
デメリットは?
- 広範囲には不向き
- 髪のボリュームが出せない
- 植毛に時間がかかる
- 初期脱毛が起こる確率が高い
- 生着に時間がかかる
- 採取部分の傷跡が目立つ
などが挙げられます。
移植密度に限界があるため、フサフサな髪の毛になることは難しいと言えます。植毛した毛はニードル法を採用しているクリニックは年々減っています。
遊離移植法(3種類)
側頭部や後頭部の皮膚を、ハゲが進行した箇所に移植する方法です。
遊離移植法は、
- パンチグラフト法
- マイクログラフト法
- 毛包単位移植(FUT法、FUE法)
などの総称です。
パンチグラフト法
パンチグラフト法は、1939年に発表された植毛方法で、円形のメスで皮膚からドナーを採取し、薄毛の箇所に埋め込む方法です。
パンチグラフト法のメリット
直径3mm程度のメスを使うことで、一度に8~10本以上採取できるため、手術が短時間で終わります。
パンチグラフト法のデメリット
一度に多くのドナーを採取してまとめて移植するため、どうしても仕上がりが不自然になるというデメリットがあります。
マイクログラフト法
マイクログラフト法は、直径1mm程度のメスを使い後頭部からドナーを採取します。採取したドナーを1~3本単位の株(グラフト)に分けて、専用の針で薄毛部分に植える方法です。
マイクログラフト法のメリット
パンチドラフト法が10本のグラフトなのに対して、マイクログラフト法は1~3本のグラフトですので、より細かい植毛が可能です。
これによって、植毛部位のムダな隙間が減りますので、植えた髪の毛の密度を高くすることが可能になり、自然な仕上がりになります。
マイクログラフト法のデメリット
グラフトを細かくしたことで、手術にかかる時間が増えてしまいます。また、技術によって仕上がりが左右されますので、医師の腕によっては満足のいく仕上がりにならないこともあるようです。
毛包単位移植(FUT法、FUE法)
採取した皮膚組織を、顕微鏡で確認しながら毛包単位に切り分け、脱毛した箇所に埋め込みます。毛髪単位のマイクログラフト法とは異なり、毛包単位で移植するのが特徴です。
ドナー採取の方法によって、「FUT法」と「FUE法」に分かれます。
FUT法
FUTとは、「Follicular Unit Transplantation(フォリキュラー・ユニット・トランスプランテーション)」の略で、メスを使用して後頭部の皮膚組織を1cm×20cm程度切り取り、毛包単位で株(グラフト)分けして薄毛部分に移植する方法です。
FUT法のメリット
- 自然な仕上がり
- 生着率が高い
- DHTの影響を受けない(AGAにならない)
FUT法は生着率が極めて高く、移植した毛包の約90%が生着します。
移植された毛法のほとんど(約9割)は休止期に入るため、一旦抜け落ちますが生着していればしっかりと生えてきて再び成長を始めます。
また、移植した毛は、元来あった箇所の性質を持ち続けるので、DHTの影響を受けることがありません。そのため、AGAが進行してハゲてしまった箇所に移植した毛は元々の太さのまま育ち続けます。(ドナー・ドミナントの法則)
FUT法のデメリット
- 後頭部に傷が残る
- 回復に時間がかかる
FUT法で切り取った部分の傷は、髪が伸びると見えなくなりますが、短い髪型にすると目立ってしまいます。
また、傷口のツッパリ感がなかなか消えず、違和感がなくなるまで時間がかかる人も多いようです。
FUE法
FUEとは、「Follicular Unit Extraction(フォリキュラーユニットエクストラクション)」の略で、メスを使用せずに、植毛する方法です。
パンチと呼ばれる専用の機械を使用して、後頭部からドナーを毛包単位で吸引して、薄毛部分に移植します。
FUE法のメリット
- 痛みが小さい
- 手術に時間がかからない
- 採取した部位の傷が目立たない
- DHTの影響を受けない(AGAにならない)
メスを使わずにグラフトを採取できますので、痛みが小さく、傷の回復が早いです。採取したあとの傷が目立たないのも大きな特徴と言えます。
FUE法のデメリット
- 医師の技術力で生着率が変わる
- 費用が高い
FUE法の手術では、緻密な作業が求められますので、医師の技術力で生着率が左右されます。また、高い技術力を必要としますので、FUTよりもかかる費用が高くなります。
自毛植毛するならどの方法がいい?
現在、自毛植毛の主流となっているのは、
- FUT法
- FUE法
です。
どちらも生着率がとても高く、植毛後も自然な見た目になるため多くのクリニックで採用されています。
大きな違いは、
- 後頭部から植毛する髪の毛を採取する際にメスを使うか使わないか
- かかる費用が高いか安いか
です。
FUE法の良いところ、悪いところ
メスを使用するFUT法は、傷口が目立たず、手術が早く終わるメリットがありますが、「費用が高額になる」、「手術に時間がかかる」などのデメリットもあります。
FUT法の良いところ、悪いところ
一方、メスを使用するFUT法は、定着率がFUE法よりも高く、費用がFUE法の半分程度で済むメリットがあります。
ただし、後頭部から切り取った皮膚から1~3本単位の株(グラフト)に分けて移植するため、速やかな作業が求められますので、医師の技術や植毛クリニックの設備で仕上がりが左右されるデメリットもあります。
【結論】植毛範囲が狭いならFUE、広範囲ならFUT
植毛の費用は、移植する株(グラフト)の量で変わります。
FUE法のデメリットは、「費用が高い」「手術の時間が長い」ことですので、狭い範囲を植毛するのであれば、メリットの方が大きいです。
FUT法は、定着率が高くてかかる費用も安いので、広範囲の植毛に向いています。
ただし、植毛の傷跡の回復はFUEよりも時間がかかりますので、今の生活環境で植毛しても大丈夫かをしっかり考えてから判断することが大切です。
また、仕上がりに差が出やすいので、信用と実績のある植毛クリニックを慎重に選びましょう。